紙とExcelの管理をシステムに変えるとき、最初に決める3つのこと

業務システムDX支援仕事のやり方
Craflow のログイン画面(管理画面と現場アプリのどちらで入るかを選ぶ画面)

写真は Craflow のログイン画面です(管理画面と現場アプリのどちらで入るかを選ぶ画面)。

「紙とExcelで回しているのを、そろそろシステムにしたい」というご相談をよくいただきます。ただ、いきなり画面の話から始めると、たいてい途中で行き詰まります。littechが最初にお聞きしている3つのことを書いておきます。相談される前の整理にも使えると思います。

1つめ:いま、誰が、どの順番で触っているか

システムにする前に、いまの手順をそのまま書き出します。「営業が手書きの伝票を持ち帰る」「事務がExcelに打ち直す」「月末に別のファイルへ集計する」——この順番です。ここを飛ばして画面から作ると、実際の流れと合わないものが出来上がります。私たちが最初に「いまどう回しているか見せてください」とお願いするのは、このためです。仕様書は要りません。現物を見せていただくのがいちばん早いです。

書き出すと、たいてい「同じ数字を2回以上打ち込んでいる場所」が見つかります。転記が起きている場所は、ミスが起きている場所でもあります。ここが最初に手を入れるべき所です。

2つめ:立場ごとに、何が見えるべきか

全員に同じ画面を出すと、だいたい失敗します。見なくていいものが並んでいると、使う人は「自分には関係ない」と感じて触らなくなるからです。社長が見たいのは合計、管理者が見たいのは割り当て、現場の人が見たいのは今日の自分の予定、というふうに、必要なものは立場ごとに違います。

合同会社LITが自社で開発した警備会社向けのアプリでは、社長・管理者・運転手・隊員で画面を分けています。隊員が開くと、今日の現場と打刻ボタンしか出ません。見るものを減らすのは、教える手間と押し間違いを減らすためです。逆に言えば、この分け方を最初に決めておかないと、あとから分けるのは大掛かりになります。

3つめ:最初に作らないものを決める

「あれもこれも」と積み上げると、公開までが遠くなります。遠くなるほど、完成したときには状況が変わっていて、使われないものになります。私たちは最初に「今回は作らないもの」を決めます。作らないと決めたものは、使い始めてから本当に必要かどうかが分かります。必要だと分かってから足せば、無駄がありません。

順番としては、いちばん時間を食っている作業を1つだけシステムにして、まず使ってみる。これがうまく回ってから次を足す、という進め方をしています。

相談の前に手元にそろえておくと早いもの

3つを整理するための材料は、特別なものではありません。いま実際に使っているものを、そのまま出していただくのがいちばん確実です。

まず、いま使っている紙の伝票や帳票を、記入済みのものを何枚か。白紙の様式だけでは、実際にどこへ何が書き込まれ、どこが空欄のまま回っているかが分かりません。お客様の名前など見せにくい部分は、隠していただいて構いません。

次に、Excelのファイルそのものです。印刷したものより、ファイルのほうが多くのことが分かります。どのシートからどのシートへ数字を写しているか、どこに計算式が入っているか、誰かが手で色を付けて「済み」の印にしていないか。こうした決まりごとは、たいてい誰も書き残していません。システムにするときに抜け落ちやすいのは、ここです。

あとは、おおよその件数(1日に何件、1か月に何件)と、触っている人の人数と立場、いま困っていることを3つほど。会計ソフトなど、すでに使っているサービスがあれば、その名前も教えてください。つなぐのか、別々に使い続けるのかで、作り方が変わります。

費用は、何をどこまで作るかで決まります

業務システムの費用は、「システム一式でいくら」という決まった値段があるものではありません。何をどこまで作るかで決まります。金額の幅を左右するのは、主に次のようなところです。

使う人の立場がいくつあり、それぞれに画面がいくつ要るか。扱うデータの種類(案件、顧客、在庫、勤怠など)がいくつあるか。現場からスマートフォンで使うかどうか。会計ソフトなど、いま使っている他のサービスとつなぐかどうか。いまExcelに入っている過去のデータを、新しいシステムへ移すかどうか。

3つめで書いた「最初に作らないものを決める」は、費用の面でも効きます。範囲を絞れば、そのぶん最初の費用は抑えられ、使い始めるまでの期間も短くなります。littechでも、設計の段階で範囲と費用感をお出しし、納得していただいてから進めています。

もう一つ、作るための費用とは別に、使い続けるための費用があります。システムを置いておく場所の利用料や、公開後の手直し・問い合わせへの対応です。見積もりを比べるときは、最初にかかる金額だけでなく、毎月かかるものがあるか、あるならどのくらいかを、あわせて確認しておくと安心です。

切り替えのときによくある失敗

作る段階より、使い始める段階でつまずくことが少なくありません。よく見かけるのは次の3つです。

1つは、Excelの見た目をそのまま画面に再現しようとすることです。Excelは、入力も集計も印刷も1枚の表でこなしています。それをそのまま写すと、入力する人にとっては見なくていい列が並ぶ、使いにくい画面になります。入力する画面と、集計を見る画面は分けて考えます。立場ごとの分け方については、「業務システムは、立場ごとに画面を分けると定着する」に詳しく書きました。

2つめは、紙とシステムの並行期間が長引くことです。「念のため、しばらくは紙も続けよう」とすると、両方に書く手間が増え、「前のほうが楽だった」という声が出ます。切り替える日を先に決め、並行して回す期間は短くしておくほうが、結果として定着が早くなります。切り替える時期も大事です。北海道には季節によって仕事量が大きく変わる業種も多いので、繁忙期のまっただ中に切り替えるのは避けたほうが無難です。

3つめは、実際に毎日使う人が、完成まで一度も画面を触っていないことです。決める人と使う人が違うと、この形になりがちです。途中の段階で現場の人や事務の人に触ってもらい、「ここが押しにくい」「この順番だと困る」という声を早めに拾っておくと、公開してからの作り直しが減ります。littechでも、途中経過をお見せしながら進めています。

決まっていなくても相談できます

ここまで3つ書きましたが、これらが決まっていないと相談できない、ということではありません。むしろ「何から手をつければいいか分からない」という段階のご相談がいちばん多いです。いま使っている紙やExcelを見せていただければ、一緒に整理するところから始められます。

業務システムの作り方については事業内容のページに、実際に作ったものについては制作実績のページにまとめています。

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