業務システムは、立場ごとに画面を分けると定着する

業務システムアプリ開発仕事のやり方
警備勤怠管理アプリのログイン画面

写真は警備勤怠管理アプリのログイン画面です。

「前にシステムを入れたが、結局みんな使わなくなった」というお話をよく伺います。原因はいくつかありますが、いちばん多いのは、全員に同じ画面を出していることです。littechが実際にどう分けているかを書いておきます。

使わなくなる理由は、たいてい「多すぎる」

システムを入れる側は、機能が多い方が良いものだと考えがちです。ところが、実際に毎日触る人にとっては逆です。開いたときに自分に関係のないものが並んでいると、どこを見ればいいか分からず、だんだん開かなくなります。

現場の人が知りたいのは、たいてい「今日、自分は何をするのか」だけです。月の集計も、他の人の予定も、その人の画面には要りません。

警備会社向けアプリでの分け方

合同会社LITが自社で開発した警備会社向けの勤怠・現場管理アプリでは、画面を4つの立場に分けています。2026年5〜6月に警備の現場で試験運用したアプリです。

社長の画面には、全体の状況と数字が出ます。管理者の画面は、誰をどの現場に割り当てるかの作業が中心です。運転手の画面には、その日の送迎の順番が出ます。隊員の画面は、今日の現場と打刻ボタンだけです。

隊員の方がアプリを開いたときに出るものを、ここまで絞りました。開いてすぐ、今日やることだけが目に入るようにするためです。

建築・工務店向けシステムでの分け方

建築・工務店向けの業務管理システム「Craflow」では、事務所で使う画面と、現場で使うアプリを分けています。事務所では案件・見積・請求・入金・集計を扱います。現場ではスマートフォンから写真を送り、予定を確認します。

同じデータを扱っていますが、見せ方と操作の入口を完全に分けています。現場の人が事務所用の画面を開くことはありませんし、その必要もありません。

分け方は、最初に決めておく

この分け方は、あとから追加するのが大掛かりになります。データの持ち方そのものに関わるからです。私たちが設計の前に「誰が、何を見られるべきか」を必ず確認するのは、このためです。

逆に言えば、ここさえ最初に決めておけば、あとから機能を足すのは難しくありません。立場の枠が決まっていれば、新しい機能をどの立場に出すかを決めるだけで済みます。

見えないようにする、ということでもあります

画面を分けることは、見せないものを決めることでもあります。給与に関わる情報、他の現場の詳細、取引先ごとの金額。これらを誰が見られるかは、システムの作りとして決めておくべきことです。「運用で気をつける」では、いつか事故が起きます。

littechでは、見える範囲をデータの置き場そのものに持たせる作りにしています。画面で隠すのではなく、そもそも取り出せないようにする、という考え方です。

分け方を決めるための書き出し方

分け方は、紙1枚で整理できます。まず、システムを使う人を、名前ではなく立場で書き出します。社長、事務、現場の責任者、現場で作業する人。協力会社やアルバイトなど、社外の人や短期間だけ関わる人が触るかどうかも含めます。

次に、立場ごとに「毎日見るもの」「ときどき見るもの」「見てはいけないもの」の3つに分けて書きます。毎日見るものが、その立場の画面の中心になります。ときどき見るものは、少し奥の、探せばたどり着ける場所に置きます。見てはいけないものは、画面から隠すのではなく、その立場では取り出せないようにします。

立場と一緒に、どこで、何を使って開くかも書いておきます。事務所ではパソコン、現場ではスマートフォン、というように使う場所と道具が違えば、画面の作りも変わります。冬の屋外で手袋をしたまま押す、日差しの強い場所で見る、といった現場の事情も、文字の大きさやボタンの配置に関わります。

小さな会社では、1人が複数の立場を兼ねていることがよくあります。社長が管理者を兼ねている、事務の人が現場にも出る、といった形です。この場合も、立場は分けたまま考えて、1人に複数の立場を持たせるほうが、あとで人が増えたときに困りません。

分けるときによくある失敗

1つは、分けすぎることです。人ごとに画面を作り始めると、直すたびに全員分の確認が要るようになり、手が回らなくなります。分けるのは「立場」までにして、同じ立場の人には同じ画面を出すのが基本です。

2つめは、「念のため」で全員に管理者の権限を渡してしまうことです。導入したばかりの頃は、そのほうが問い合わせが減って楽に見えます。ただ、誰でも何でも消せる状態は、いつか誰かが間違えて消す状態でもあります。

3つめは、人の入れ替わりを考えていないことです。辞めた人のアカウントが使える状態のまま残っている、というのは珍しくありません。入社・退職・異動のときに、誰が権限を付け外しするのかを、最初に決めておきます。

立場の分け方は、最初に決めることの1つです

立場ごとの分け方は、業務システムを作る前に決めておく項目の1つです。ほかに何を決めておくと作り直しにならないかは、「紙とExcelの管理をシステムに変えるとき、最初に決める3つのこと」にまとめました。

立場ごとに画面を分けた業務システムやスマートフォンアプリについては、事業内容のページでも紹介しています。いまの使い方を教えていただければ、どの立場に何を出すかを一緒に書き出すところから始められます。

Next

次に見るなら。